渦巻く知識
トップ
自己紹介
著作
お問い合わせ
船を漕ぐ者 第六部
波間に落日が見える。
空にはすでに月が顔を出していて、やがて幾千の星々を引き連れて夜がやって来る。
月は白い顔で私を見下ろしていた。
星々に飾られた天蓋が張られ、夜の闇が辺りを包み込むと、海はそれに呼応して射干玉の黒い衣を纏っている。
白波は微かな光を含んで白く弾ける。
それは漆黒の闇の中に浮かぶ星々のようであったが、その飛沫はすぐに消えた。
空を見上げれば一面の星々。
幾万幾億もの星が競い合う様に光っている。
雲一つない。
明朗な月と果てのない星空が広がっている。